歴史を築いた偉大なベーシスト達 第2回
緊急事態宣言の中、オーディオ好き、音楽好きの方々の間では「新富町のサウンド・オアシス」と呼ばれて久しいon and onです!

当店はこの状況下ですが「Stay Home,Stay With Music」をテーマに、皆様の暮らしに少しでも良い音楽と上質なサウンドをお届けして心と身体を癒していただけたら、、、と日々業務に励んでおります。
第1回の「ポール・マッカートニー」に引き続きサトーBがお送りいたします。

さて!

お待ちかねの「歴史を築いた偉大なベーシスト達」第2回に登場するベーシストは!
「ジェームス・ジェマーソン」

ジェームス・ジェマーソン!
(James Jamerson)1936年1月29日~1983年8月2日(47歳没)

前回のポール・マッカートニーに比べると世間一般の知名度はほとんどありませんが、エレキベースの歴史においては「ロック、ポップスの世界において最も後世に影響を与えたベーシスト」として名をはせています。ポール・マッカートニーもインタビューで「ジェマーソンの影響を受けた。」と公言しています。
「モータウン」

ジェームス・ジェマーソンを語る前にこの「モータウン」の説明が必要不可欠です。

「モータウン」とはアメリカのレコード会社です。

アメリカ合衆国ミシガン州デトロイトで1959年創立しました。特徴はなんと言ってもソウルミュージックやR&Bなどの「黒人音楽」です。1960年代が全盛期ですが、そのサウンドは「モータウン・サウンド」と呼ばれ、単なるレコード会社という枠を超え一つの音楽ジャンルとして確立しています。

モータウンに所属していた主なアーティストは、ジャクソン5(マイケル・ジャクソン)、スティービー・ワンダー、スモーキー・ロビンソン、シュープリームス(ダイアナ・ロス)、ライオネル・リッチー、テンプテーションズ、マービン・ゲイ、コモドアーズ、などそうそうたる顔ぶれです。

「モータウン」の名前の由来は自動者産業が盛んなデトロイトの通称「Motor Town」を繋げて1つの単語にして「Motown」(モータウン)にしたそうです。
「ファンク・ブラザーズ」

更にジェームス・ジェマーソンを語るにはこの「ファンク・ブラザーズ」の説明も必要不可欠です。

「ファンク・ブラザーズ」とは簡単に言うと、モータウンの音楽のほとんどをレコーディングしていたスタジオ・ミュージシャンの集団です。正確な数字は分かりませんが彼らがモータウンでレコーディングした曲は数千曲に及ぶと思われます。

「モータウン・サウンド」=「ファンク・ブラザーズのサウンド」と言っても過言ではありません。

ジェームス・ジェマーソンはこの「ファンク・ブラザーズ」の中心的メンバーだったのです!
「ジェームス・ジェマーソン」

ジェマーソンの何がすごいって、ベースだけに留まらずその後のポピュラー音楽自体の形態までに影響を及ぼしました。

少し専門的な話になりますが、ポピュラー音楽におけるベースラインは通常「コード進行に対して、どのようなアプローチを施すか」という考え方の上に設定されます。

ジェマーソンのベースラインのアプローチはそれまでのポピュラー音楽ではほとんど見られなかった、半音を多用した経過音や、16分音符系の複雑なシンコペーションなど画期的なベースラインでした。それらのプレイは数々のモータウンの曲に独特の輝きを与え、50年を経た現在でもポピュラー音楽の指針の一つとなっています。

ほんの一例ですがスピッツの「ロビンソン」のような曲を聞くと「あっ…ジェマーソン風だな…」と思ってしまいます。

ジェマーソンの名演はマービン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイング・オン」、シュープリームスの「恋はあせらず」など数えたらきりがありません。
「ザ・フック」

ここではベース自体の奏法に関する少しマニアックな話です。

ジェマーソン奏法の一番の特徴は何と言っても「ワンフィンガー奏法」です。これはジャズ界のウッドベースの巨匠レイ・ブラウンにも通じる奏法です。ジェマーソン自身も元々はウッドベースプレイヤーだった事が大きな要因となっているのは明白です。

通常エレキベースを指で弾く場合は人差し指と中指の2本を使用する「2フィンガー奏法」が主流です。しかし、ジェマーソンは画像のようなフォームで人差し指1本で弾いていました。そのビジュアルから「ザ・フック」(鉤)という異名がつきました。

ジェマーソンの「ワンフィンガー奏法」から紡ぎだされるベースラインはディスコード(不協和音)すれすれのスリル満点の経過音や、合理的でリズムのツボを押さえたゴーストノート(ほとんど音程感のない音で主にリズムの補強のために使用される音)の多様などによる圧倒的な存在感とグルーヴ感でアンサンブル全体をけん引しています。

ジェマーソンのベースプレイはそれ以降のポピュラー音楽の在り方を変え、その影響力は現在にまで及んでいます。

若い世代のミュージシャンで直接「ジェームス・ジェマーソン」の名前を知らなくてもポピュラー音楽をやっていれば間接的に必ずジェマーソンの影響を受けています。
「永遠のモータウン」

最後になりますが当時はジェマーソンをはじめ「ファンク・ブラザーズ」のメンバーは完全な「裏方」であったためにレコードに名前すらクレジットされませんでした。

そんな「ファンク・ブラザーズ」にスポットをあてたドキュメンタリー映画「永遠のモータウン」が2002年に公開されています。DVD化もされていますのでジェームズ・ジェマーソンをはじめ「ファンク・ブラザーズ」に興味を持った方には是非ともご覧になっていただきたいと思います。


「歴史を築いた偉大なベーシスト達」第2回は「ジェームス・ジェマーソン」をお届けしました。

これからも偉大なベーシスト達を紹介していきたいと思っております!

次回をお楽しみに!(サトーB)

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